2008/07/08

ひとこと_2

思えば僕は長い間、建築設計についてばかり考え続けてきました。
絵を見たり、映画を観に行ったりするときも、
昼夜問わず、建築設計の事を考えています。

今回こうして、実際に自分の手を動かして作業する身になることで新たな視点を得ました。
それはずばり、今の時代の建築設計者における怠慢さです。

何かを作るための「技術」とは、本来かなり厳格な物であるはずです。
ある厚さの材料を仕上げるにはこんな長さのビスが何本要るとか、
斜めにビスを打つには、通常よりも何倍か長いビスが要るとか、
大きい材料をカットするにはこれだけのスペースが最低限要る、とか、とか。
この点で技術者=職人は信じがたいほどに博識です。

例えば建築設計者がとあるプロジェクトを考える際、
四角い平面図のスケッチに突如斜めの線を書き入れる時があるとします。
その設計者は、プロの職人が斜めにビスを打ち込む様にその線を引く事ができるのでしょうか。
僕はできると信じています。
ルイス・カーンは生涯、そのようにスケッチしていたはずで、
四角形の空間に斜めの壁を挿入(設計)するという「技術」は、
実は改修現場での斜めビスの打ち方と何ら変わりはありません。

0 件のコメント: